麻莉華

漢方や食事療法で体質を改善する知識を紹介

中医学 7

臓腑

中医学では邪気による影響または精気の異常に伴って臓腑のもつ生理機能に変化が生じると考えられます。

心の病態

心の病態では、動悸や胸痛といった循環の症状と、意識・思考内容の異常、不眠などの精神症状が出現します。

肺の病態

肺の病態は咳払い、喘鳴、呼吸困難感などの呼吸器症状が出現します。また、皮膚の異常や発汗の異常も出現しやすくなります。

脾の病態

食欲不振や下痢、さらにるい痩などの消化吸収の異常と、浮腫などの水湿の症状、気滞などが生じやすくなります。

肝の病態

症状としては、イライラや怒り、抑うつなどの情動の変化や、月経の異常をきたしやすくなります。

腎の病態

腎の異常では、成長発育、老化、性機能の異常や尿の異常、浮腫、腰痛などが生じやすくなります。

中医学の論理

中医学は、四診を通じて、伝統的な病因病態論を把握します。治療は病因・病態を対象としています。特に自然界と人体の気の交流を阻害している病因を治療対象としています。

漢方医学中医学の違い

虚実の定義

中医学の虚実は、実は種々何らかの過剰な状態で、虚は精気の虚を意味します。
邪正相争論の観点では実は邪の存在、虚は正気の虚と呼びます。

表寒・表熱の定義

中医学では、病因となっている性質を中心に議論しているのに対して、漢方医学では発熱しているという生体反応を中心に議論しています。

六経病と六病位

中医学では、太陽病、陽明病、少陽病、太陰病、少陰病、厥陰病と経路と関連した病態といえます。

処方単位と生薬単位の方剤学

中医学では病因に基づいた治療方針を重視し、それに適合するように生薬が配合されていることが重視され、必ずしも伝統的な方剤を試用しない場合があります。

中医学 6

気・血・津液弁証

血の病態・治療

流れが停滞した血お、変性したお血、流れるものが不足した血虚、血が熱の影響を受けた血熱、血が冷やされた血寒があります。

血お

血おは、症状としてはうっ血やチアノーゼ、固定性で刺すようなズキズキするような性状のお痛が出現します。血の流れを改善する活血作用を持つ当帰芍薬散などが適応になります

お血

お血は、血おの症状に加えて、腫瘤形成や組成変性、色素沈着などをきたします。変性したお血を除く桂枝ふくりょう丸などが適応になります

血虚

血虚は、血色不良、ふらつき、皮膚や髪・爪の潤いや光沢が無くなります。血を補う作用をもつ四物湯などが適応となります。

血熱

血熱は、暗赤色の発赤、せん妄、不眠、出血傾向などが生じ、血熱を冷ます(涼血)作用を持つ温清飲などが使用されます。

血寒

血寒は、冷えで憎悪する血おの症状、月経周期の遅延などを認め、血を温める(温経)作用がある当帰四逆加呉しゅゆ生姜湯などが使用されます。

津液の病態、治療

津液の異常として津液が停滞している水湿、津液が変性している痰飲、津液が不足している津液不足、陰虚があります。

水温

水温は、浮腫、湿度上昇や水分過剰摂取による症状、分泌の亢進、めまい、固定的で重だるい痛み、軟便などを生じさせます。治療は水湿を除くきょ湿作用を有する五れい散などが適応になります。

痰飲

痰飲とは津液が変性したもので、粘ちょうなものを痰、希薄なものを飲と呼びます。多くの場合、痰・飲は水湿を背景に生じ、水湿の症状に加えて、腫瘤形成、組織の変性、胸水・腹水などが生じます。二陳湯などが用いられます。

津液不足

津液不足は、発汗や嘔吐、下痢による水分の消耗、水分摂取不良などから生じます。粘膜の乾燥や口渇感などが出現します。津液を増やす生津作用を持つ麦門油冬湯などが適応となります。

陰虚

陰虚は津液の不足の一種で、津液の不足の症状に加え、ほてりや組織の萎縮が出現します、津液の一つである陰液を補う補陰作用を持つ六味丸などが適応になります。

中医学 5

外感病弁証

外感病は急性感染性疾患に相当する概念で、外邪である風邪が外界からが体内に侵襲してくる病態をいいます。

外感病は風邪が体表面のバリアーを破壊して寒、熱、湿、燥、などの邪を引き込むことで成立します。外感病では、病態の主座による証(表証、半表半裏証、裏証)と邪気と正気の闘病状況による分類で病態を把握することを基本としています。

表証

表証では寒気、頭痛や節節の痛みといった体表の違和感を伴い、体表面に気を動員し発散させることで、外邪を体外に排除する(解表)治療が選択されます。

半表半裏証

半表半裏証では横隔膜周囲や李肋部~心か部の違和感や圧痛、軽度の咳払いや嘔気、軟便を伴い、邪を排泄しやすい経路から緩やかに導く(和法)治療が選択されます。

裏証

裏証では邪の勢いが強い場合には、邪を排泄させる(攻下)治療が選択されます。

温病:衛気営血弁証の概念

温病は風邪+熱邪の体への侵襲によって起こります。傷寒の概念だけでは対応困難な病態が存在するという認識から、温病独自の分析法として衛気営血弁証が用いられます。

気・血・津液弁証

気・血・津液の停滞によって疼痛が生じます。

気の病態・異常

気の異常とし、気の流れが停滞した気滞と、気が上半身に登る気逆、気が不足している気虚、気が上昇できなくなる気陥、気の過剰な運動である内風、陽気の不足である陽虚、陽気の爆発である内火があります。

気滞

気滞はイライラや抑うつなどの感情異常、腹部ガス貯留、移動性疼痛などを伴い、香蘇散などの適応となります。

気逆

気逆は躁性の精神症状、のぼせ感、嘔吐、頭痛や痙攣性咳払いなどを伴います。半夏厚朴湯などの適応となります。

気虚

気虚は倦怠感、脱力、息切れなど生理機能低下に伴う症状を呈し、気を補う四君子湯などが適応になります。

気陥

気陥は内臓下垂、立ち眩み、下に引っ張られるような下墜感などを伴います。補中益気湯などが適しています。

内風

内風は突然出現し消失する症状を特徴としており、突然の情緒の変動や痙攣、振戦、めまい、かゆみなどが代表です。過剰な気の運動を抑制する抑肝散などが適応となります。

陽虚

陽虚は強い冷え、寒冷で憎悪する症状を呈し、陽気を補う附子や桂皮、乾姜が含まれた方剤が適応になります。

内火

内火は強いほてりや、皮膚・粘膜の発赤を呈し、陽気の過剰を除く黄連や石膏、大黄などが含まれた方剤が適応となります。

中医学 4

中医学の診断方法

四診

中医学では病歴、症状、症候を四診(望聞問切)によってとらえて診察が進められます。中医学では四診のうち特に問診による病因・病態の推論が重視され、脈診と舌診が細やかに行われます。

弁証

四診からの情報を統合して診断する過程が弁証であり、病態すなわち証の把握を行います。

中医学における証は、虚実と寒熱の概念が中心になって行われています。

虚実

虚実の概念は、虚は不足の状態、実は過剰状態または邪という過剰なものが存在する状態であり、いずれも人体におけるさまざまな過不足状態による病態を表します。

寒熱

寒熱は陰陽のバランスの崩れの代表的なものと考えられます。熱には冷やす治療、寒には温める治療が選択されます。

実証に対しては過剰を除く瀉法、虚証に対しては不足を補う補法を行います。

八鋼弁証

八鋼弁証は弁証の基本概念であり、まず病態を把握するために、陰陽・表裏・寒熱・虚実の概念を用います。

陰陽

陰陽を区別することは全身状態をとらえること

表裏

表裏は病位を示します。急性感染症は外邪が体表から体内に侵入すると想定しています。

表証

表証は病態の場が体表であり、すなわち感染症の初期の段階であると考えられます。

裏証

裏証は深部に病態が存在すると考えられます。

寒熱

寒熱は病態の性状を表し、熱証は温めると憎悪し冷やすと緩解する症状、寒証は温めると緩解し冷やすと憎悪する症状を伴います。

虚実

虚実の概念は、実証は生理現象にかかわる様々な因子が過剰、または邪気が存在する状態で、虚証は精気が不足している状態を意味します。虚実が同時に存在する虚実挟雑の状態もあります。

傷寒

病因病邪が風邪+寒邪であれば傷寒と考え、六経弁証によって傷寒の病態をさらに推論します。

そして、風邪+熱邪の場合には温病と考え、温病専門の弁証の方法である衛気営血弁証などに進みます。表証の病歴がなければ、急性感染症疾患以外の内傷病を考える気血津液弁証や臓腑弁証などの弁証をすすめます。

傷寒の概念においては、六経弁証に基づいて病態を6つに分類しています。

すなわち、太陽病、陽明病、少陽病、太陰病、少陰病、厥陰病の6つの病状・病期に分類します

太陽病

太陽病は表証として邪正相争が起こっている病態です。寒気と発熱、節節の痛みなどが出現している状態です。風邪+寒邪に対応して、体を温め、気を発散させる(辛温解表)作用があります。麻黄湯や葛根湯が使用されます。

陽明病

陽明病は陽明胃経と六腑の胃・大腸での病態です。裏証となり胃・大腸に病態が有ることが多く、強い熱感、腹部の張りや痛み、便秘などが出現します。この場合には邪を便とともに排出される作用をもつ漢方薬が使用される。

少陽病

少陽病は少陽胆経と胆、三焦での病態です。半表半裏証に対応し、悪寒と熱感が交互に繰り返す。李肋部の張りなどが出現します。気と津液の流通を改善する小柴胡湯などが使用されます。

太陰病

太陰病では、脾の病気が消耗し、水様下痢と腹部の冷えが出現する状態です。脾の陽気を補う漢方薬が使用されます。

少陰病

少陰病では、胃・心の陽気が消耗し、脈は耐えそうなほど弱くなり、手足は冷たくなる状態です。附子などの心・腎の陽気を補う漢方薬が使用されます。

厥陰病

厥陰病では肝の陽気が消耗し、陽気の分布の調整ができなくなり、上半身はのぼせて下半身は冷えるなどの症状が出現した状態です。陽気を流通させ分布を是正する漢方薬が使用されます。

中医学 3

病態論

中医学には様々な症状を引き起こす病態を解釈する上で、二大病態論(邪正相争論と陰陽失調論)という考え方があります。

邪正相争論

邪正相争論では邪気(発病因子)と、正気の相対関係によって病態を解釈します。

正気

正気は闘病反応として邪気に対抗するために精気から動員される気で、3つの状態に分類されます。

邪実

邪気の存在があるが、正気はまだ消耗していない

正虚

邪気はある程度除かれているが、正気の消耗・不足している状態

虚実挟雑

邪気が多く、正気が消耗している状態が併存している状態

邪気

邪気は体外由来の邪気とである外邪と、体内由来の邪気である内邪に分けられます。

外邪

外邪の代表は、風・寒・湿・熱・燥・暑の6つの気候因子です。暑邪は熱中症を起こし、その他の5つは、風邪と他の邪が組み合わさって体内に侵入することで急性感染症の病型を引き起こします。

内邪

内邪には、気候条件に暴露されたときに、急性感染症の病型をとらなくても症状が出現する人体の問題が有ります。例えば、寒冷にさらされたときに体の痛みや凍そうなどの症状が生じるのは、体内に冷えた反応する内寒があるように判断します。

内邪には精気が変性したものも想定されており、津液が変性した痰飲や血が変性したお血などが有ります。

陰陽失調論

陰陽失調論は、体内の精気バランスの崩れをとらえた病態論です。陰陽は万物を2つに相対的に分ける考え方であることから、さまざまな場面で使用されます。物質的な存在を陰、機能的な存在を陽ととらえ、相互関係の破綻から病態を説明しています。

気・陽気と血・津液はお互いを抑制しあう関係であり、どちらか一方のみでは成立せず、一定の条件を満たすとお互いが相互に変化しあう関係にあります。

気や陽気が過剰になると血や津液を消耗し、血や津液が過剰になると気や陽気が抑制されると説明されます。

逆に、気や陽気が不足すると血や津液の過剰や停滞を生じ、血や津液が不足すると気や陽気の抑制がとれて暴走が生じると説明されます。

中医学 2

生理概念

中医学における診断推論すなわち弁償を行うためには、人体の構成成分とされる精気について理解が必要です。

精気:気血津液

精気は人体の機能の総称である気、血液に相当する血、血液以外の体液の総称である津液によって構成されます。

気は人体の機能の総称であり、中医学では気には運搬作用、防衛作用、脱失を抑制する機能固摂作用、組織に熱量を提供する作用温養作用、代謝作用気化作用の5つに区分しています。

血の概念は血液にも相当しますが、その働きは気の作用を円滑にし、組織に物質的な栄養を供給するものとされます。

津液

津液は体内の血液以外の体液の総称で、組織の水分や栄養の供給を行います。

臓腑

精気の生成、代謝、貯蔵を行い、生理機能を担うものが臓腑です。五臓には、心、肺、脾、肝、腎、六腑は胃・小腸・大腸・膀胱・胆・三焦があります。

五臓

五臓それぞれの意味は、心は循環の中枢であり意識の根源、肺は呼吸と気の産出、脾は消化吸収の中枢と気や津液の流れの調整、肝は気の流れの調整と血を整え、腎は精気の源となる物質である精を蓄えるとともに尿の生成を通じた津液の調整機能が有ります。

六腑

六腑については、胃は飲食物を受け入れ(受納)、下部消化管に送る作用(降濁)があり、小腸は飲食物のうち必要な影響分をよりわけ脾が吸収する場として働きます(泌別清濁)、大腸は残った残裟から水分を吸収して大便として排出します(伝化)、膀胱は尿の貯留と排尿をコントロールします。

胆は胆汁を貯蔵し必要に応じて腸管内に出すとともに決断や勇気などの精神活動にも影響すると考えられています。三焦は本来は腸間膜や縦膜、胸管、尿管などの通路とされています。

疾病

中医学における疾病は、一定の恒常性を保った円滑な気の作用が妨げられる状態を示しています。
自然界の気の運動・変化に人体が順応・対処することができない

体内の気の不順な運動による乱れがある

精気のなかで成立していたバランスが破綻している

精気の消耗状態がある

精気の変性によって生じた病理産物により支障をきたしている

中医学

中医学

f:id:tamochanakari888:20201215042137j:plain

中医学


中医学とは中国における古代中国由来の医学の総称です。中医学の基本概念は、大自然と人体は共に万物の基質である気によって成立していると考えられていることです。

そして、自然界には気の法則により季節や昼夜の変化がおきるのと同様に体内にも気のシステムがあり、人も気の法則によって変化していると考えられます。

この自然界と人体を支配する気の性質と運動の法則を理解するために重要な概念が陰陽説と五行説です。

陰陽説

この世の万物およびすべての現象は陰または陽のどちらかに分類できるとする考えが陰陽説です。陰陽は互いに対立して抑制しあうもの、独立して存在することはできないとする陰陽の法則が有ります。

五行説

気は5つの性状に分けることができます。すなわち木・火・土・金・水のいずれかに分類できます。

五行の間にはお互いを生み出す関係、互いを抑制する関係があります。この2つは、変化を起こしつつも平衡状態を保つ調整機能を担っています。

中医学の証

中医学の証とは、人体のどこで、何が、何によって、どうなっているのかすなわち病態的生理学的に把握することです。

そして、この診断推論を中医学では弁証といいます。