麻莉華

漢方や食事療法で体質を改善する知識を紹介

八味地黄丸 2

八味地黄丸を処方した症例

高齢男性、腰痛、頻尿、耳鳴り

漢方的所見

望診:痩せ気味、元気がない、皮膚乾燥、毛髪が細く艶が無い

問診:易疲労感、慢性腰痛、腰から下の冷え、頻尿、耳鳴り

舌診:舌質は色調淡泊、腫第なし、歯痕なし、舌苔は白色湿、舌下の静脈は怒張なし

脈診:沈、弱

腹診:腹力やや弱、胸脇苦満無し、心下振水音なし、腹直筋の緊張無し、腹部動悸なし、小腹不仁あり、臍傍圧痛なし、小腹急結なし

西洋医学的診断

慢性腰痛症

漢方医学的考察

高齢男性は新陳代謝が慢性的に低下した状態である腎虚に陥りやすいとされます。腎虚のため腎による水の代謝の維持機構が弱まっており、排尿障害や浮腫が生じています。聴力低下や耳鳴り、皮膚の乾燥、毛髪が細くなったり艶が無くなったり抜けたりするのも腎虚で見られる所見です。

舌診では、舌色調淡泊は寒証あるいは血虚、舌苔白色湿は陰証を示しています。脈診では沈は表裏では裏証、弱は虚証を示唆します。腹診では、腹力やや弱はやや虚証を表します。小腹不仁は腎虚を示し腎気丸類の適応ということになります。さらに下半身優位の冷えもあることから、漢方診断としては八味地黄丸証ということになります。

経過

八味地黄丸を1日3回常用量で処方したところ、4週間後には腰痛は改善傾向となり、夜間の尿回数も減ってきました。皮膚の痒みも軽減してきました。2ヶ月後、腰痛は9割方消失し、足腰の冷えも改善したため、八味地黄丸を1日2回に減量しました。3ヶ月後、ずいぶん元気になり、八味地黄丸を1日1回に減量しました。