麻莉華

漢方や食事療法で体質を改善する知識を紹介

抑肝散 4

症例 2 女児の母親

情緒不安定、いらいら

漢方的所見

望診:やせ型、神経質な感じ

問診:イライラ、頭痛、繰り返すこむら返り、胃もたれ、食欲低下

舌診: 舌診は色調紅、腫大軽度、歯痕あり、舌苔は白厚、舌下の静脈は怒張なし

脈診:沈、細、弦

腹診:腹力やや軟、胸脇苦満あり、心下振水音あり、腹直筋の緊張なし、臍上悸あり、小腹不仁なし、臍傍圧痛なし、小腹急結なし

西洋医学的診断

適応障害

漢方医学的診断

生活環境としては、長男の夜泣き、長女の赤ちゃん返りなどで育児のストレスが高まってきています。夫が育児に必ずしも協力的ではないことがストレスを増強させているようです。痩せ型で軟便傾向ということで虚証と考えられます。
イライラ、頭痛は気逆、繰り返すこむら買えりは血虚の所見です。胃もたれ、食欲低下は脾胃気虚を示します。

舌診では、色調紅は気逆、腫大、歯痕、厚い白苔は水滞で見られる所見です。脈診では、沈は裏証、細は気血両虚証、弦は肝胆の失調を示します。腹診では腹力やや軟は虚証傾向を示します。心下振水音は水滞、胸脇苦満と臍上悸は慢性的な肝の気滞を示します。以上により、漢方診断としては抑肝散加陳皮半夏証ということになります。抑肝散加陳皮半夏は抑肝散に脾胃気虚を改善する作用を有する陳皮と半夏を加えた漢方薬です。

経過

母親に抑肝散加陳皮半夏1日2回常用量で処方したところ、2週間後の外来受診時にはいらいらや頭痛は軽減していきました。こむら返りも起きなくなりました。1ヶ月後の外来受診時には母親の食欲は回復していました。その後はよく眠られるようになり、体調の良い状態が続き、さらに1ヶ月間同処方内服を続けた後に内服終了としました。

抑肝散について

肝は怒りの感情と関連し、肝が過度になると、神経の高ぶり、いらいら、過緊張が生じます。抑肝散はそれらを抑える効果があるため肝を抑える薬と命名されました。

抑肝散は元々小児の夜泣き、疳の虫に適応があり、精神的な緊張状態・不穏状態に対して効果のある漢方薬です。近年m認知症患者の暴力や暴言、幻覚、妄想、せん妄、失禁などの行動・心理症状を緩和する薬として用いられ、エビデンスも集積されています。